小児用股関節装具 スワッシュのご紹介
スワッシュは小児用股関節装具です。
脳性麻痺に生じる股関節内転等による歩行障害、座位バランス困難に対して、動作を妨げることなく状況に応じた外転角が得られる設計になっています。
適応
●歩行に障害をきたすはさみ足歩行
●独立座位バランスを崩す股関節内転筋緊張
禁忌
●股関節の屈曲拘縮 > 20度
●過度の脛骨捻転
●肢位の矯正
●肢位の固定
座位、立位、歩行時に、それぞれ状態に合わせ必要な外転角が得られる構造になっています。
従来の装具との一番の違いは、スワッシュは可変する股継手により状況に応じた外転角が得られる仕組みになっていることです。
固定や矯正を目的とする装具ではありません。
ちなみに、製品名のSWASHはSitting(座位)、Walking(歩行)、And Standing(立位) Hip orthosisの頭文字をとって名付けられています。
スワッシュが各場面でどのように機能するかを、もう少し具体的に紹介します。
座位
股関節が屈曲すると、自動的に大きな外転角が得られる股継手の設計になっています。
これにより座位時に手で身体の崩れを支える必要がなくなり、手を使った作業、動作を行う事ができるケースもあります。装着時間経過とともに、リーチ動作や上肢を使った動作が改善されていくかを評価してください。
歩行
歩行時に生じる股関節の屈曲により、下肢を外転位に導き、大腿カフが弧を描くように動きます。
下肢の立位ベースを広げ、はさみ足歩行を減少させ、歩行バランスを向上させます。
初めてスワッシュをご利用する時は、はさみ足歩行に対する初期の外転角設定は容易ではありません。最終的なゴールはできるだけ左右の大腿カフが近づく位置に設定することですが、はさみ足歩行を改善し、股関節のアライメントや姿勢、歩行を整えるために十分な股関節の外転を保つ必要があります。使用時間と共に股継手の外転角設定の見直しが必要なこともあるので定期的な評価が必要です。
立位
股関節伸展時には、股関節内転を防ぐための適度な外転角度を保持する事ができます。
しかも内転方向の力は骨盤の後傾に作用し体幹の良肢位の保持につながります。
ウォーカと一緒に使用する事もできますが、スワッシュ装着によって立位姿勢が改善された結果、高さを見直す必要が生じるかもしれませんのでご注意ください。
スワッシュ詳細
スワッシュは、股継手付き骨盤帯、支柱、カフから構成され、これらパーツを組み上げてユーザーにフィッティング納品する装具です。
この組み上げ作業がとても重要なので、義肢装具士様が確実に行ってください。スワッシュの各パーツ自体は出来合いですが、ユーザー様の身体、内転筋の緊張に合わせカスタマイズした角度調整を行ってください。股継手の外転角度調節だけでなく、大腿カフの内外転の調整が必要です。ただ組み上げればよい装具ではありませんし、定期的にフィッティングを評価する必要もあります。
スワッシュの各パーツは左右対称になるように設定してください。姿勢・機能共に左右非対称のケースがありますが、スワッシュ使用開始後2~4週間は左右対称の姿勢になるように設定してご利用ください。
スワッシュの種類
スワッシュにはステディとゴーの2種類あります。
選択の目安としては、体幹の支持を目的とするケースや歩行よりも座位での装具装着を主とするケースではステディを選択してください。
一方はさみ足歩行のコントロールを主とするケースではゴーを選択してください。また腸骨稜と胸郭のスペースが少ないケースではゴーの方がデザイン的に適します。
スワッシュの支柱は2種類あります。広い外転角の123度の支柱を標準としておりますが、車椅子に乗るなどの理由で狭い外転角115度が必要な場合は取寄せることが可能です。
メンテナンスについて
プラスチックや金属の部分は湿らせたタオル等で軽く拭いて下さい。
スワッシュのカバーは洗濯することができますので、定期的にスワッシュから取外し洗濯機で洗ってください(カバーの取り外し、取り付けは難しくはないですが、少しコツが必要なので事前に練習してください。)。
スワッシュは装着による良肢位の獲得により、上肢機能の向上や体幹筋の強化が促進されるなどの利点があります。
歩行時には適度な歩隔が得られることにより、足を前に運ぶという一つの動作にのみ集中することがなくなることから、姿勢改善につながるケースもあります。
スワッシュは使用を継続していくなかで、子供たちが正しい動作を学んでいくことを理想としております。
スワッシュの試着デモ機をご用意しております。先ずは試着デモ機でスワッシュが適応になるのか、継続的に装着できるのかをご確認いただけます。
スワッシュはお係りの補装具製作会社様を通じて試着が可能です。