前足部切断者への新しいアプローチ
前回アラードAFOについて、種類などを説明しました。
基本的に、「アラードAFO」は下垂足の患者様用の装具なのですが、アラードAFOシリーズの中でも一番剛性の高い(硬い)ブルーロッカーを前足部切断者への義足の一部として利用するケースが増えてきているので、それについてご紹介します。
前足部切断で生じる問題
1.十分な推進力を得る事ができない。
ウィンドラス機構が機能していると、MP関節伸展に伴う足底腱膜の巻き上げにより足部のアーチが緊張し、足部の剛性が高まり推進力が増加します。しかし前足部切断のケースでは、この機能が有効に働かないため、十分な推進力が得られません。
2.断端末部に大きな摩擦が生じる。
健常者の足部ではレバーアームの長さと下腿のバランスが保たれているので、摩擦は生じません。しかし、前足部切断のケースでは、レバーアームの長さが短くなり、下腿の力が勝り、断端末部に摩擦が生じ胼胝等の原因になります。
ブルーロッカーを使用すると
推進力の復元と断端末部の摩擦を軽減します。
フットプレートと脛骨前面のシェルがレバーアームの長さを補完し、反発力を生み出し、十分な推進力を得る事ができます。
また、つま先まで長さがあるフットプレートにより、圧力がフットプレートの遠位にかかり、断端末部での摩擦を軽減させます。
素材であるカーボンの反発力と製品形状の特徴を利用することにより、以下のメリットがあります。また、断端にもよりますが、試着ができるのも特徴だと思います。
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推進力の復元
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歩行スピードの向上
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断端末部での摩擦の軽減
切断部位によっては、健足との脚長差や底屈可動域を考慮し、ソケットを製作する必要があります。
ユーザー様からは以下のようなコメントを頂いております。
- 左右バランス良く歩くことができる。
- カーボンの反発があるので、長い距離歩いても疲れない。
- 体重移動の途中で力が抜ける感覚が無くなった。
- 見た目にも左右の足の運びに違和感が無く、家族からも喜ばれた。
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ブルーロッカーの種類
ブルーロッカーには以下の3つのモデルがあります。ユーザー様の体格や利用する靴の踵の差高を考慮し、モデルを選択して下さい。その他アラードAFOについては、こちらをご参照下さい。
参考文献:アラード社 PARTIAL FOOT - AN ILLUSTRATIVE GUIDE