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2018年6月

2018年6月26日 (火)

ライナーについて その2(アルファライナーについて)

弊社で代理店を務めるアメリカのウィローウッド社製の義肢用ライナー「アルファライナー」シリーズについてご紹介します。

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ウィローウッド社はアメリカのオハイオ州にある創業1907年の歴史ある義足パーツメーカーで、世界的に見ても大規模な義肢パーツメーカーの一つです。ライナー以外の製品も多数あるので、メーカーサイトも是非ご覧ください。

ウィローウッド社が製造するアルファライナーには様々なラインナップがあり、一覧にするとこんな感じです。沢山の種類があります。

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アルファライナーは、大腿用、下腿用、大腿下腿兼用と3種類に分かれます。

ゲルの厚みによる例外もあるのですが、下腿用アルファライナーは膝が曲がりやすいように、膝裏周辺が薄くなっています。下の図は、スピリットライナーの6mm厚、ユニフォーム形状の断面図です。ライナーの底や骨が当たる前の部分は厚みのあるゲルで、膝裏は薄くなっているのが判ると思います。つまり下腿用アルファライナーシリーズには前後の装着向きがあるのです。

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このように、まずは切断部位に合った製品を選択することが必要です。

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次にアルファライナーシリーズの素材についてです。

ライナー素材の特徴は前回も説明した通りですが、サーモプラスチック製ライナーはクッション性に優れ、また熱可塑性なので装着しているだけで、体温によりライナーの形状が変化します。つまり、断端になじんで、足の形状に沿ってきます。装着時の締め付けは感じにくいと思います。クッション性がありますが、ヘタっていきます。ソファーやマットレスが使用時間とともにヘタっていくのと同じ感じです。

一方シリコーン製ライナーは弾性に富み、元の形状に戻ろうとする力があるので、懸垂力、支持力に優れます。クッション性はサーモプラスチック製に比べ少ないですが、ヘタることは稀です。

アルファライナーシリーズの素材は、①サーモプラスチックと②シリコーンがあり、更にその素材に独自物質を混ぜることにより特徴を持たせ、異なる硬さのゲル種類があるので、その種類と特徴を簡単にご紹介します。

【サーモプラスチック】
・クラシックゲル(クッション性に大変優れ、断端に傷ができやすい方にもご利用頂けるます)
・ハイブリッドゲル(クッション性と耐久性(縦伸びヘタリに強い)を兼ね備えます)

【シリコーン】
・シリコーン(弾性に富みます)
・シリコーンwith Outlastテクノロジー(断端の余分な熱を吸収し、発汗を遅らせます)

ライナー素材は、断端に接する重要なポイントなので、それぞれの特徴を理解していただきたいと思います。但し、義足の懸垂方法や断端の形状、アレルギー、ユーザー様の活動度等を考慮する必要があるとは思います。また、消耗のサイクルもそれぞれ異なります。

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ユーザー様がアルファライナーを取扱い時に注意する点を簡単に挙げると、
●ライナー素材の劣化の原因になりますので、断端やライナーゲル面にクリームやジェル、パウダー等を塗らないで下さい。
●アルファライナーは種類により装着する向きが決まっているので気を付けて下さい。またキャッチピンを使う場合は確実に取付けられている事を確認して下さい。
●ライナーを装着する時は無理に引っ張り上げず、必ずロールオンして装着して下さい。皮膚を引っ張り上げると肌荒れの原因になります。

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●毎日ライナーのゲル面をクリーニングして下さい。柔らかいスポンジを使い、お湯と中性石鹸で優しく洗って下さい。決して擦らないで下さい。クリーニング後はタオル拭いて元の状態(カバー面が外向き)でスタンドに被せて乾燥させて下さい。アルファライナーシリーズには親切にも保管用スタンドが付属されます。
●週に一度、少量のイソプロピルアルコール(薬局で買えると思います)でライナーのゲル面を拭いて下さい。
●ライナーゲルの状態をチェックして下さい。一部だけが白くなったり、ヘタってきた時は断端が痩せたこと等により、その部位周辺に集中して圧がかかっていたことが考えられます。断端とソケットの適合を再度点検する必要がありますので、至急ご担当の義肢装具士様へご相談が必要です。

12●保管する時は、ライナーのカバー面を外側にして付属のスタンドに立てかけて下さい。長期間履かない時はビニール袋等を被せておいて下さい。

メーカーYouTubeサイトに以下のユーザー様向け取扱い紹介ビデオがありました。取扱いについて詳しく説明されておりますが、英語です・・・・・。時間があるときに日本語字幕を入れるようにしますが、とりあえずオリジナルの動画を貼っておきます。

日本語字幕バージョンを作りましたので、アルファライナーをご利用の方は是非ご覧下さい。

以上、ウィローウッド社のアルファライナーシリーズの一般的な特徴のご紹介をしました。尚、ライナーの特徴はメーカー毎に異なるのでご注意下さい。

アルファライナーを個別紹介はこちらを参照ください。。

クッション性のあるライナーで傷ができやすい方へもおすすめのライナーや締め付け感の少ないライナー、発汗のタイミングを遅らせるライナー等、製品ごとに特長がありますので是非ご覧ください。


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2018年6月18日 (月)

ライナーについて その1

弊社ではアメリカ ウィローウッド社製アルファライナーをはじめ、いくつかの義足用ライナーを販売しております。

では、さっそくアルファライナーのご紹介を と思ったのですが、まずは「ライナー」とはどんなモノなのかというところから始めたいと思います。

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今でこそ、いろいろなメーカー、種類の義足用ライナーが存在しますが、もともとは1980年代にOssur Kristianssonというアイスランド人によってICEROSSという呼び名で商品化されたのがはじめです(この人が創業したのが、今では大きな会社になったOSSUR社ですね)。

それまでは、スポンジで作ったインサートや断端袋を履いて義足ソケットを装着していました。Kristianssonさんも切断者で、もっと良い義足装着環境はないものか・・・という事でICEROSSが開発されました。

このライナーが開発された1番目の目的は、ライナー先端に取り付けられたキャッチピンによる自己懸垂だと思います。キャッチピンが義足側の受け手パーツと機械的に接続されるので、確実な義足懸垂が可能となりました。これにより義足を懸垂するためのベルト等が不要になったので膝周りが自由になりました。

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2番目の目的は、ライナーが第2の皮膚の役割をすることでしょうか。シリコーン製のライナーが肌に密着し、義足ソケットと摩擦が生じるのはライナーの外側になります。最近ではインターフェースなんて言葉でライナーを位置付けしているメーカーもあるみたいです。

実はその当時OSSUR社の代理店をしていたのは当社で、古い資料をあさっていたらこんなチラシを発見しました。20年位前の資料でしょうか・・・

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なつかしい・・・・・

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そんな感じで開発された義足用ライナーですが、今では色々なメーカーから販売されております。

OSSURさんのICEROSSはシリコーン製なのですが、現在ではウレタンやサーモプラスチック等でつくられたライナーが存在します。

ちょっと調べてみたのですが、判っただけでもこんなにありました(会社名と製品名)。日本国内に流通してないものもあるようです。ライナー素材はシリコーンであったりサーモプラスチックであったり、また独自の呼び名を付けているメーカーもあるので詳しくは各社のサイトを覗いてみてください。

ALPS (Easy Liner)
DAW (Cool Liner)
ESP (Ultimate Liner)
FILLAUER (Absolute Liner)
OSSUR (ICEROSS)
OTTO BOCK
SILIPOS (DuraGel)
Streifeneder (ContexGel Liner)
WILLOWWOOD (Alpha Liner)

沢山ありすぎですね。

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ここでポイントとなるのは、このライナーの素材によってかなり特色が変わってくるということです。簡単にライナー素材別の特徴をシリコーンとサーモプラスチックを例に説明すると。

◆シリコーン製ライナー(OSSUR ICEROSSやOTTO BOCK 6Y70等)

  • 弾性に富み、元の形状に戻ろうとする力があります。
  • 懸垂力、支持性に優れます。
  • 形状が変化しないので、ライナーの規格サイズが多種必要になり、厳密なサイズ選択が必要です。

◆サーモプラスチック製ライナー(WillowWood Alpha LinerやSILIPOS DuraGel等)

  • クッション性に優れます。
  • 熱可塑性なので装着しているだけで体温によりライナーの形状が変化し、断端になじんできます。
  • 形状に変化があるので断端に沿います。その為ライナーの規格サイズが少ない。

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とても大雑把な説明だとこんな感じになるでしょうか。

そこで、ようやく現在弊社が取扱いするウィローウッド社(WillowWood)製アルファライナーのご紹介になりますが、少し長くなってしまったので続きは次回に・・・・・・・・・・・・・


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2018年6月11日 (月)

義肢セミナー 無事終了しました

6月9日、10日に田沢製作所とナブテスコ株式会社による共同企画「義肢セミナー2018」を開催いたしました。
9日は岩手県花巻にて、10日は北海道千歳にて開催しました。
義足製作に携わる沢山の方々に足をお運びいただき、大盛況のうちに終了しました。

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弊社義肢部田村君の発表ではケーススタディを交え、臨床の角度から義足用ライナー製品等についてをご紹介しました。最先端の義足懸垂装置もご紹介できました。
また、ナブテスコ社藤原さんの”義足の音”に関する講義は斬新でとても興味深い内容でした。

ご参会頂いた皆様、誠にありがとうございました。


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2018年6月 1日 (金)

義肢セミナー開催迫る

いよいよ弊社とナブテスコ社で共同開催する医療従事者向け「義肢セミナー」が来週末に迫ってまいりました。

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ただ今セミナーで講師を務めてくれる弊社のスーパー義肢装具士 田村君が資料作成の追い込みに入っております。

今回のセミナーでは、臨床経験に基づく義足製作応用テクニックをベースに製品を紹介する構成になっておりますので、実際に義足ユーザー様にもご協力頂きデータ収集等をしております。

Sem1これは、義足吸着懸垂のための、リムロジックという電動式吸引器紹介のためのデータ収集ですね。

その他にもライナー製品の選択のポイントや適合フィッティングについて等をご紹介する予定です。知っていると便利なフィッティングツール等もご紹介します。

きっと義足製作に携わる多くの義肢装具士様にご興味頂ける内容になると思います。

Sem2私も当日使用する資料作りや配布する粗品等の準備を行っております。ウィローウッド社さんからは、ボールペンやらゴニオメーターを頂きました。

現在、花巻、北海道両会場とも若干席に余裕がありますので、ご興味のある義肢装具士様、製作技師様がおりましたら是非お申込み下さい。

既にお申込みされた方々、当日お会いできることを楽しみにしております。

セミナーお申込用紙


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